本書では、例として「kick the bucket」(死ぬ)や「long in the tooth」(年を取っている)等が挙げられています。
本書の該当部分を端的にまとめると、慣用表現は、非ネイティブの学習負担が大きく、基本的にネイティブ同士でしか通じないものなのだから、国際語であるEnglicでは使わないというのがEnglicの立場ということになります。
この主張も筋が通っていますが、非ネイティブの慣用表現も一緒に規制しないと一貫性が保てなくなってしまいます。そうなってくると、何を慣用表現とするのかという標準化の問題が生じてきてしまう余地があり、一気に難しい問題になってしまいます。
Scientific Englicでは、もっと単純な立場を採用しようと思っています。すなわち、正確な伝達が目的であるのだから、文章は文字通りに読まれるという立場です。「kick the bucket」は文字通り「バケツを蹴る」という意味になりますし、「long in the tooth」は文字通りに「歯が長い」という意味になります。つまり、慣用表現であるかどうかが問題なのではなく、書かれていることが文字通りの科学的な事実であるかどうかが問題になるわけです。