多くの自然言語は音声を基礎にしているため、音声情報のような線条性を有しています。例外的なのは漢字であり、特に日本での漢字の使われ方は、絵、すなわち画像情報のような現示性の要素が強いものになっています。これは日本におけるマンガやアニメの発展の基礎となっていると言われています。
一方で、他の言語が現示性を有していないかというとそんなことはなく、漢字を用いている漢文(文言文)は言うまでもなく、英語においても名詞構文などは現示性の要素があるものと考えられます。
ここで注目するべき点は、一般に、抽象度が高く、高級だとされている文体ほど、現示性の要素が強いものになっているということです。自然言語において、最初は音声の記録であったものが、音声を離れて書き言葉として独立して発展していく中で現示性を獲得していったのかもしれません。
実際に、黙読においては現示性の要素が強い文章の方が読みやすく、情報伝達に優れていることは日本人のよく知るところです。
現示性の観点からすると、アルファベットはかなり遅れた表記法であると言えます。ただし、それでも工夫はされており、例えば、インテリ層が名詞構文を好んで使うのは、衒学的な趣味というよりは、表記法の不備を補う工夫であると考えられます。
これから詳しく述べていくように、名詞構文はScientific Englicの核となるものですが、その理由の一つは現示性にあります。
さらに、アルファベットの不備を補うために、表示ソフト側で登録した名詞のフォントや色を変えるということも考えられます。もう少し踏み込むと、フォントの代わりに絵文字や漢字に置換することも可能であり、そうなると英語でも日本語に近いレベルの表現ができるようになります。
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